ナポリ伝説の職人集団「BOSCO社」
こんにちわ。代表の上田 隆です。
イタリア出張では、Host Milano 2017の会期前にまずはナポリへ飛びました。
時差ボケ真っ最中のイタリア初日は、ナポリ伝統のピストンレバーマシンの専門メーカーBosco社への訪問です。
写真は朝早くのナポリのガレリア。日本でいうアーケード商店街です。
ミラノのガレリアも有名ですが、さすがにおしゃれですね。
1960年創業のBosco社はナポリのレバーマシンメーカー最古参組で代表的存在の一つ。
ナポリでのシェアはNO.1。芸術品のような気品ある美しさが特徴のエスプレッソマシンを制作しています。
しかも、ナポリで唯一(たぶんイタリアでも唯一)すべて職人の手作業で、伝統工芸品の域に達するほどの製品です。
伝説の職人
到着予定の前日夜はナポリ市内が珍しく濃い霧におおわれ到着の朝もまだどんよりうす曇りの中Bosco社へ。
ここでお断りしておきたいのですが、一般的なマシンメーカーの工場を想像したら完全に裏切られます。
BOSCO社は、日本の町工場よりもさらに規模が小さい「工房」といった感じなのです。
ほら。
白髪の方がナポリでも有名な伝説の職人Attillio Bosco。BOSCO社の創業者で今も現役社長です。
いかにもナポリの頑固おやじです。
彼の弟子の話によると。
1960年当時、モーターポンプ式のマシンが多く作られる中で、ピストンレバーの基本的な仕組みを開発し商品化したのが、このAttillio Bosco。
彼はその仕組みを独占しようとはせずむしろ情報開示をしたそうです。
その後、多くのメーカーがその仕組みを模倣していき、今ではピストンレバーのほとんどがこの基本構造となりました。
BOSCO製品の特長は製品すべてが職人の手によるハンドメイドということ。
本当に「すべて」手作りなんです。
なんと、ボディーは鉄板をまげて加工し、フレームとそのねじ穴、ボイラーまで!
既成パーツはゴム部品、プラスチック部品、ピストンシリンダーなどの鋳造品だけ。
切る、曲げる、打つ、穴をあける、などの金属部品はすべて昔から使い慣れた工作機械を駆使して作り上げます。
この鉄板からボディーを作っていきます。
ここまでの完全ハンドメイドを可能にしているのは、実はナポリが職人の町であるからなのです。
ナポリのソウルフードであるPizzaの薪釜の煙突に代表されるように、ここナポリには昔から優秀な板金工などの金属加工職人が多く住んでいます。
そして、一つの製品を作るときにはそれぞれの職人が協力し自分の専門分野を駆使して製品を作り上げるのです。
BOSCOでも金の装飾やメッキなどは、昔から協業している金装飾の職人がその部分を受け持ちます。
工作機械も年代物ですが、自動化・コンピューター化されていないので、凄腕の職人にはかえって自由自在に加工できます。
BOSCO社単体では、伝説の職人Attillio Boscoとその弟子が二人、事務の女性が一人の4人だけの小さな工房です。
しかし、彼らの後ろにはナポリ特有の職人集団が存在していて、それぞれの分野に伝説の職人が存在します。
彼らの協業によりBOSCOの芸術品と言えるピストンレバーマシンが作られるのです。
BOSCO社のピストンレバーマシン。
完全ハンドメイドゆえに制作台数は通常は年間50台余り、頑張っても70台。
そして2台と同じものがない。
まさに所有者のためだけの美術工芸品なのです。
熟練の技から生み出される芸術品「Boscoのピストンレバーマシン」
この貴重な製品を日本のお客様にお勧めできる幸せを実感いたしました。
会社訪問の後、Posillipo湾の夕日が最高でした。